3. ファーストインプレッション
ブランドビジネスにおいて、「最初の印象」は極めて重要です。
一度「安いブランド」という印象が市場に定着してしまうと、その後に高級ブランドとしてのイメージへ転換することは非常に難しくなります。
例えばユニクロは、日本では長年「低価格ファストファッション」のイメージを持たれてきました。しかし海外では、その“安さの先入観”が比較的少ないため、日本国内より高い評価を受けているケースも少なくありません。
実際には、現在のユニクロは世界トップクラスのデザイナーを起用し、品質面でも非常に高いレベルにあります。それでも、日本国内では過去の「安価な衣料品ブランド」というイメージが完全には消えていない部分があります。
このことは、ブランドにおける“第一印象”がいかに重要かを示しています。
私たちは Devon & Drew を日本市場へ導入する際、この「最初の見え方」を極めて重視しました。
Inter Pet Tokyo をはじめとする展示会では、単に商品を並べるのではなく、ブランドの世界観をどう空間として表現するかに大きなエネルギーを注ぎました。
壁面には大型タペストリーを使用し、ブランドロゴを大胆に配置。さらに大型モニターを設置し、パリのファッション誌「L’Officiel」掲載イメージや Devon & Drew のビジュアル映像を流しました。
単なる“ペットウェア売場”ではなく、一つのライフスタイルブランドとして空間全体を演出したのです。
そして実際、Inter Pet 2015 の会場内において、私たちほどブランドイメージを徹底して作り込んだペットウェアブースは、ほとんど存在しなかったと感じています。
ブランドは、商品単体だけでは成立しません。
最初に市場へ現れる瞬間に、 「どんなブランドとして記憶されるか」 が非常に重要なのだと思います。
4. 他ブランドと同じに立たない
ブランドには、それぞれ独自の文化と個性があります。
言い換えれば、「一般的な商品」と同じ土俵に立ってしまった瞬間に、そのブランド固有の価値は埋もれ始めます。
だからこそブランドは、“他と違う空気”を持たなければならない。
私は Devon & Drew の日本展開において、常に「Stand Alone」という感覚を大切にしていました。
それは単に目立つという意味ではありません。
“どこにでもあるブランド”にならない、ということです。
例えば百貨店や展示会でも、周囲と同じような見せ方をすれば、結果として価格比較の世界へ引き込まれてしまいます。
しかし本来、ブランドとは「比較される存在」ではなく、「選ばれる存在」であるべきです。
そのためには、売場、空間、ビジュアル、接客、世界観のすべてにおいて、一貫した独自性が必要になります。
Inter Pet Tokyo の展示でも、私たちは単に商品数を増やすのではなく、「このブランドは何者なのか」が一瞬で伝わる空間づくりを意識しました。
結果として、多くの来場者がブース前で立ち止まり、通常のペットウェア売場とは異なる空気を感じ取っていたように思います。
ブランド戦略において重要なのは、競争に巻き込まれないことです。
価格競争の中で埋もれるのではなく、 “自分たちだけの立ち位置” を市場の中に作ること。
それがブランドを長く生かす力になるのだと思います。